コラム

母との関係をなんとかしたい

以前テレビで「母が重たい」というテーマの番組があった。
母親との確執に
長年悩んでいるのは私だけだと思っていたのに、同じような悩みを持つ女性が相当な割合でいるそうなのだ。

母が重たい、母娘関係を改善したい、関係を修復して束縛から解放されたい。
だけど変えられないという女性の数は、思っていたよりはるかに多かった。

 

人の生き方の根っこにあるモノゴトのとらえ方や考え方、習慣、行動、言葉などは、幼い頃の親子関係がとても濃く関係している。

たいていの人は母親との関係が一番密接だから、そこから積み上げられたものがとても多い。

問題は母と娘の関係だけのように見えるが、実は人生のほかの面でもうまくいかない原因になっている。

 

母娘関係を改善したい、修復して人生をいい方向へ変えたいと思った時に、どうすればいいのだろう。

私は悪くない、母親が変わるべき

人は、癖や習慣、行動や言葉使い、モノゴトのとらえ方や考え方を、親との関りのなかで学んで身につけていく。

幼い頃からの体験の積み重ねが、自分という人格を作りあげている。

 

だから、「こんな人生になってしまったのは、あんな育てられ方をしたからだ」と、親の育て方のせいにしてしまうのは、無理もないかもしれない。

母親との折り合いが悪いのも、自分の人生が思うとおりにいかないのも、その原因を作ったのは親だ。悪いのは親。

 

親が謝ってくれたら、考え方を変えてくれたら、私を認めてくれたら、問題は解決するのに・・・・・と思ってしまう。

 

自分が大人になったからといって、気持ちが治まってくるというものでもない。何か手を打たない限り、いくつになっても親子関係の悩みは変わらず、ストレスの原因にもなる。

親子関係の悩みといっても、人により内容はさまざまなので一概には言えないが、まずは現状を見て、そこから自分の思い癖や信念などを知るのがいいと思う。

 

子どもの頃に自分は何を感じていただろうかと、思い出してみたことがあるだろうか。

怒りや悲しみをわかってもらえず、そのはけ口もなく、ひとり不安で怖くて寂しい思いをしていた、幼い自分。

その頃の思いを感じてみるだけでも、自分が何を抑え我慢していたかがわかってきたりする。

 

過去へのこだわりを捨てるには

親が悪い。私は悪くない。親のせいでこうなった。
そう思っている心の奥にあるのは、被害者意識。

被害者がいたら、加害者が必要になる。

 

自分が被害者意識を持っている限り、加害者としての親が存在するということになる。
だから、被害者意識があることを認め、変えていくことも大事なのだ。

 

それから、人は受け取り違いをして思い込みを持ってしまうことも、多いのではないだろうか。
さらに、自分の記憶は絶対に間違いないと思ってしまうものでもある。

 

脳科学では、人の脳は自分に都合のいいように、記憶を書き換えるといわれている。
だから、「私の記憶は本当だろうか?」「もしあの記憶自体が違っているとしたら?」と見直してみる必要もある。

 

当時の大人の気持ちや事情は、子どもにはわかりようがないから、本当はそうではなかったのに、受け取り違いをして、自分は不当に扱われたと感じることもあったかもしれない。

過去のあの出来事からできた思い込みは、子どもの自分が間違って受け取ってできたものかもしれない。

そう考えてみるだけで、状況はまるで変ってくるはず。

 

過去の記憶に執着していては、何も変らない。
人の脳の仕組みを知って、記憶への執着を手放してみたときに、新しい展開が始まるのだと思う。

問題は母娘関係だけじゃない

いくら過去に、親からひどい仕打ちや扱いを受けたとしても、そこに目を向けていては何も解決しない。

現実は、自分の意識や心の状態の現れなのだとしたら、自分の内面に目を向けないと変化は起きない。

 

母娘の関係が悪くなっているのは、自分が原因という意味ではない。
内面の問題が、自分の現実に投影されているというだけ。

だから、母娘関係を修復して改善するには、自分自身との関係を見なおすことが近道なのだ。

自分との関係を修復すると、不思議なことに親との関係も変化してくるのに気づくと思う。

 

親との関係だけではない。仕事やお金や健康も、恋愛や夫婦、子どもとの関係、そのほかの人間関係も、人生のすべてにおいて、良い方向へと変化が起きてくるはずなのだ。

意識を変えたら、すべてが変わってきた

今だからそう言えるけど、以前はずっと、母が変わらないと私と母の関係は変えようがないと思っていた。

そればかりか、仕事も経済的なことも、夫や子どもとの関係も、私の人生がうまくいかないは、全部母親のせいだと思っていたくらい、母を恨んで憎んでもいた。

 

その私が自分の内面と向き合うことを始めたのは、もうどうしようもないと人生を諦めかけていた時。
知り合ったある人が、薦めてくれた本がきっかけだった。

 

「人は自分で親を選んで生まれてくる」という説を知ったのは、すごい衝撃だった。
あんなに恨んで、縁を切りたいとさえ思っていた親を、私が選んで生まれてきたというのだ。

 

自分に起きている現実は、すべて自分でシナリオを書いて、それを演じているというのも驚きだった。
人生は自作自演だというのだ。

 

私があの母親を選んで生まれてきた?
こんな惨めな人生が、私の創った筋書き通り?

 

最初は「そんなバカな」と鼻で笑った。
信じる気になれなかった。
信じたくなかった。

 

「この人生を自分が選んできたなんて」
と、私はしばらく落ち込んでしまった。

しばらくして冷静になれたとき、その視点から自分のことを見なおしてみた。

私があの親を「選んで」生まれてきたのだとしたら、なぜだろう?
なぜ私は、辛い目に遭うばかりの筋書きにしているんだろう?

 

自分に問いかけ続けていると、同じ出来事が、それまでとは違う見え方をし始めた。
自分の心が、思っていた以上に深く傷ついていたこともわかってきた。

 

まずはヒーリングを学び、傷ついていた自分の心をとことん癒した。
モノゴトを捉える視点も変えてみた。

すると、母との関係が変化し始めたのだ。

 

自分との関係を修復すれば、相手も変わってくるというのを、体感できたのだ。

 

だけど現実は変わらない

母親をはじめ、悩まされていた人間関係は大きく変わり、心がとても穏やかになった。
だけど仕事やお金といった現実は、なにも変わたない。

私は、心が癒されれば現実はすべて好転すると思っていたので、途方にくれた。

 

でもそままの人生は、もう本当にイヤだった。

私がシナリオを書いているんだ。
自分で何とかできるはず。

シナリオを書き換えるにはどうすればいいんだろう?

 

脳科学や心理や量子力学的なことを学んだ。
自分の意識状態が現実に投影されているという考え方を取り入れてみた。

そしてやっと、私の心の奥に、子どもの思考のままの私がしつこく残っていたことに気づいたのだ。

昔の心の傷やインナーチャイルドを癒すだけでは、現実が変わらなかったワケがわかってきて、現実が変わり始めた。

 

本音で生きているか

親子の関係、特に母と娘の関係には、根深い要因がある。
しかも恐ろしいことに、連鎖的に起こっていく。

「私と母親のような関係には絶対しない」と堅く思い、自分の娘との関係には、とても気をつけてきたつもりだった。

 

だけど、いつの間にか娘に疎まれ嫌われるようになり、気づいたときには、母と私の関係と同じになっていた。
私は絶望し、自分を責めるしかなかった

「私は何をしているんだろう」

 

 

だけど、母との関係を変えるために、自分と向き合い続けているうちに、娘との関係もどんどん良くなっていた。

重くて苦しい母と娘の関係を変えるために必要なのは、自分自身と向き合う勇気だと思う。

 

気づかないでいたり、見ないようにしていた自分の内面と向き合うのは、とても怖いものだ。
だけど、心と脳の仕組みや働き方を知って、視点を変え意識の使い方を変えてみてほしい

自分との関係をよくすると、不思議なことに相手との関係も変わってくるから。

 

母親のせいでと思ってしまいがちな、母親関係の悩みだけど、自分の現実に起きていることはすべて、自分が描いたシナリオ通り。
自分に必要だから自分で起こしているはずなのだ。

 

最初は受け入れがたいかもしれないけど、その視点を持つとモノゴトの見え方が違ってくる。

「母親との関係を何とかしよう」とやっきになったり、「仕方がない」と諦めたりしないで、自分自身との関係に目を向けることができるようになる。

 

母親との関係だけでなく、自分の現実すべてを好転させるためにも、視点を変えたらどうだろうか。
自分の人生は、自分の手で望む通りに書き換え可能なのだから。

 

 

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